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泣かせる味じゃん! [雑記]

 連日暑い日が続いてます。
ビール党には日々おいしく飲むことができるでしょう。
普段あまり飲む機会のない私が
今まで飲んだ中で一番旨かったビールの話を一つ。

 大学2~3年の夏、都内某区で発掘のアルバイトをした。
アルバイトと書いたが、大学の専攻が考古学だったので、
半分は実習みたいなものだった。
大学で実施する発掘現場からも話があったが、
なんだか窮屈そうなので、大学OBの学芸員の指揮する
某区の現場にお世話になることにした。

 ご存知の通り、通常発掘は屋外で行われる。
暑い夏も、寒い冬も。
一般の人は、発掘というと、竹箆と刷毛でチョイチョイと
なぞって行っているというイメージがあるだろうが、
広い面積のところ、全部をあんな事していられません。
シャベルで掘っていて遺物にぶつかったらそこを避けて残しておき、
周りを確認してから竹箆と刷毛で仕上げます。
ですから、ある程度の深さまではスコップやジョレンで掘り下げていきます。
 また、遺物はただ単に掘ればいいのではなく、測量して正確な位置を計測して
記録を残していきます。最後の仕上げのときに計測しながら記録していくので、
誤ってぶつかり、崩してしまわぬよう気をつけなければなりません。
精神的にも疲れます。

 発掘現場の仕事にも慣れ、暑い日々が続いたある土曜日。
納涼会をすることになった。毎年恒例のことらしい。
その日はみな朝から楽しみに、ウキウキ気分で仕事をこなしていた。
3時の休憩の時、スポーツドリンクを飲んでいたら先輩に
「飲みすぎるとビールが旨くなくなるぞ」と言われたが、
喉の渇きには抗えず、500ミリのペットボトルを飲みほした。
早い人は3時の休憩で早退し、納涼会の準備に向かった。
(何しに行ったかは後ほど判明)
いつも通り定時まで作業すると、他の人も最低限の片付けのみ実施し、
そそくさと出かけて行った。

 バスで某地下鉄駅まで行き、駅前の商店街で、ビールやチューハイなど多くの酒類、
唐揚げ、枝豆、ポテチ、さきいか、等おつまみを購入し、
10人以上の日に焼けた若い男と、2~3人の、やはり日に焼けたうら若き女性が、
一団となって荷物を抱え、徒歩でそこに向かった。

 荒川の土手だった。
早退して先に行っていた人は、青いビニールシートを敷いて皆が来るのを待っていた。
携帯電話も普及していない当時、場所が取れたらどのあたりか発掘現場の電話に
連絡を入れていたようだ。
他にもビニールシートを敷いて座っている集団が数多く…。

 そう。荒川を挟んで某市と同日に行われる花火会場だ。
当時はまだ指定席などなく、好きなところに自由に席がとれた。

 花火打ち上げ開始までビールを飲むのは我慢しようと言っていたが、
そんなことが守られるはずもなく、まだ30分ぐらいあるにもかかわらず、
「開けるだけ」「香りを味わうだけ」などと言いながら、
みんな缶を開け、飲み始めてしまった。

 喉の渇きを潤し、空腹により酔いが少し廻ってきたころ、
「ドーン」と音が響いてきた。
打ち上げ開始。
みんな拍手をしている。
それから1時間~1時間半ぐらい打ち上げられていただろうか。
途中でやはり足りなくなり、酒類やおつまみの買い出しに行く人もいたり、
「ドン、ドン」と音が響く中、酷暑の中の仕事の疲れに、
酔いつぶれて寝ている人も出てきた。

 これ以降も数多くビールを飲んできた。
いつも口に入れた時は「うまい」と感じるが、
一過性のもので後々まで記憶に残ることはない。
暑い中の肉体労働終りの、花火を見ながらの冷たいビール。
この一杯に勝るビールは、まだ飲んだことがない。

夏の暑い日に、時々この時のことを思い出す。


このビールの頃だったかな?ぴよぴよ鳴く注ぎ口の頃だったのは確かだけれど…。










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